先端設備等導入計画は中小企業者が設備投資を通じて一定期間内に労働生産性を一定程度以上向上を図るための計画です。
経営力向上計画で説明しました中小企業強化税制と同様に、この先端設備等導入計画も中小企業経営強化法に基づいて認定の手続きを行います。
・一定期間内とは
3年間、4年間、または5年間
(後述の市区町村が定めた導入促進基本計画をご確認ください)
・労働生産性とは
算出式は、
(営業利益+人件費+減価償却費)/労働投入量
※労働投入量は労働者数または労働者数×1人当たり年間就業時間
労働生産性が年平均3%以上向上することが要件です。
■前提
先端設備等導入計画の申請先は市区町村です。設備を導入する事業所所在地の市区町村が国から導入促進基本計画の同意を受けている場合に認定を受けることができます。
例えば、当法人がある高崎市では市のホームページに先端設備等導入計画の案内と高崎市の導入促進基本計画を公開しています。
https://www.city.takasaki.gunma.jp/page/1090.html
■先端設備等導入計画策定のメリット
主なメリットは税制措置と金融支援を受けられることです。
●税制措置
固定資産税の課税標準が軽減されます。この税制措置を受けるためには賃上げ方針を従業員に表明する必要があります。
1.5%以上の賃上げ方針で3年間、1/2に軽減
3%以上の賃上げ方針で5年間、1/4に軽減
なお、この賃上げ方針を表明したことを証する書面が申請時に必要となります。
●金融支援
中小企業信用保険法の特例が受けられます。
中小企業者は、先端設備等導入計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等通常枠とは別枠での追加保証が受けられます。
経営力向上計画と同様に、こちらでも利用する企業が多い税制優遇を中心に解説します。
■対象事業者の規模
・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
※上記要件を満たしても大規模法人からの出資を受けていると対象外となる場合があります。
※対象業種は市区町村が定める導入促進基本計画によって異なる場合があります。
■対象設備
対象設備ごとの最低価格要件は以下のとおりです。
・機械装置 160万円以上
・工具 30万円以上
・器具備品 30万円以上
・建物付属設備 60万円以上
基本的に経営力向上計画と同じ要件となっています。
そして、これらの設備投資によって投資利益率が5%以上になる投資計画書が必要となります。
投資利益率の算定式は、
営業利益+減価償却費/設備投資額
です。
投資計画書は申請書と共に市区町村に提出しますが、その前に認定支援機関による確認書の発行が必要となっています。
この際、投資計画書とあわせてその根拠となる資料も提出します。
確認書の発行を受けたら、申請書類とあわせて投資計画書、根拠資料、確認書を市区町村に提出します。
■申請の流れ(各書類作成のサポートをします)
①先端設備等導入計画および投資計画の作成
②認定支援機関に両計画の確認を依頼し、確認書を発行
③従業員に賃上げ方針を表明し、表明を証する書面を作成
④市区町村に申請書類と共に上記書類を提出
⑤認定
⑥先端設備導入計画の認定によって受けられる各制度(支援措置)を利用する
なお税制措置を受ける対象となる設備は先端設備等導入計画認定後に取得する必要があります。
これは補助金の場合でも同様です。
※確認書の発行は追加料金なしで当法人でワンストップで対応可能です。
■申請期間
経営力向上計画と同様にいつでも申請が可能ですが、設備投資をする場合には計画が認定されてから設備を取得する必要があります。
設備投資の税制措置を受けるためには令和9年3月31日までに設備を取得する必要があり、認定支援機関の確認書発行に数日~数週間、その後に市町村への申請から認定を受けるまでに1ヵ月程度かかります。
そして各申請書類の用意にも時間を要しますので、こうした期間を予め考慮いただきますようお願いします。
本解説では要点をまとめて掲載しています。
サポートをご希望の企業様に関しましては設備投資のご予定や企業概況をお聞きした後、細かな要件等を確認いたします。